農業の税務・会計は税理士に相談!強い味方を選ぶポイントは?

農業

農業で生計を立てている人の中には税務・会計について詳しくなく、誰に相談すればよいのかわからずにいる人も少なくないのではないでしょうか。農業簿記には他の業種と違った特殊性があります。この記事では、農業の税務や会計の難しい点について解説し、どのような税理士に相談すればよいのかもあわせて説明していきます。

INDEX

農業税務で押さえておくべきポイント

まず、農業税務で押さえておくべきポイントを説明していきます。

1.個人の場合

個人経営の場合、農家にかかる税金は所得税・住民税・個人事業税の3種類です。この中で特に注意が必要なのが個人事業税です。個人事業税は事業区分により税率が異なり、農作物を栽培する農業は原則非課税ですが、畜産農業は第2種事業に区分され、課税されます。ただし、畜産農業でも農業に付随して行われるものは非課税と非常に複雑で、見極めが難しいのです。 また、農地の相続についても財産評価の方法が一般の土地と異なり、納税の猶予特例があるため、税金の計算方法が特殊です。このため、農業に詳しい税理士など、専門家のアドバイスが欠かせません。

2.法人の場合

農地法人とは農業を営む法人の総称で、株式会社などの会社法人と農事組合法人に分かれます。普通法人でも農地を借りて農業を行うことはできますが、農地を所有して事業を行うためには、農地法第2条第3項に定める要件をすべて満たす必要があります。このような法人を農事法人の中でも「農地所有適格法人」と呼びます。農地所有適格法人になると、農業経営基盤強化準備金制度や肉用牛の免税などの、税務上の優遇措置の適用が受けられるようになるのです。

「農地所有適格法人」となるには、組織形態が株式会社、持分会社あるいは農事組合法人でなければなりません。 また、売上高の過半数が農業によるもので、新規参入の場合、今後3年間の事業計画によって判断されます。そして、総議決権数の過半数を農業関係者が保有しなければならず、農業関係者以外は総議決権数の2分の1未満までしか保有できません。また、役員の過半数がその法人で年間150日以上働く常勤の者である必要があります。

農業参入するために知っておくべきこと

新しく農業に参入する際には農地の取得や就農に許可が必要なことを知らなければなりません。 まず、農地法3条による許可を得ないと農地の売買や贈与、賃貸借ができません。許可を得るには、所有したり借りたりしている農地の全てを利用して耕作放棄しないことを定めた「全部効率利用要件」や「農地所有適格法人要件(法人)」、権利を取得する人が年間150日以上農業に従事することを定めた「農作業常時従事要件」、取得後の農地の面積が50アール以上となることを定めた「下限面積要件」、農地の転貸禁止、地域との調和要件を満たす必要があります。 また、市町村の農業委員会に対しても、許可・申請を行わなければなりません。一連の許可を得て農業を始めるには時間がかかるため、必要な書類をそろえて正確に記入しておく必要があります。

農業経営の味方になってくれる税理士の選び方

農業経営の味方となってくれる税理士は、どのように探したらよいのでしょうか。まず、税理士が農業関連の法律や制度、税制、農業簿記に精通しているのは前提条件です。これまで実際に行ってきた農業の税務申告件数を確認し、経験が豊富な税理士を選びましょう。 また、農地の税制猶予や農地固有の財産評価などに詳しい税理士を選ぶ必要があります。農地に関する相続税の申告実績もあわせて確認しましょう。日本政策金融公庫の農業経営アドバイザー登録を受けているかどうかもチェックポイントです。登録は必須ではありませんが、農業経営アドバイザー登録を受けていれば安心して税務を任せられる目安となります。

農業に詳しい税理士は税理士紹介会社で探そう

このように、農業会計には農地法や特殊な税制について知っておかなければなりません。農業に関する税務には他の業種では見られない特殊性があるので、専門の知識が必須です。そのため、農業に詳しい税理士を探すのは難しさも伴います。農業に詳しい税理士を探すなら、税理士紹介会社の利用を検討して相談してみるとよいでしょう。