無申告の放置は危険!リスク回避の対処法から税理士の探し方まで
年間総所得金額から所得控除を差し引いた金額がプラスになる人は確定申告を行うことが必須です。しかし、手続きの実施は個々に任されているため、なかには、さまざまな理由から確定申告の手続きをしない無申告の状態を数年の間続けてしまっている人もいることでしょう。
そこで、今回は無申告のまま放置することのリスクや懸念事項について、無申告の解消に向けた相談を安くできる税理士の探し方とともに紹介します。
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無申告とは
無申告とは、確定申告を行うべき人が申告を行っていない状態です。給与所得や退職所得、そのほかの収入を1年間に得ている人は確定申告を行う義務があります。
ただし、収入を得ているとはいえ会社員もすべての人が確定申告を行うと税務署での事務的な負担が大きくなるため、一定の条件に該当しない会社員であれば申告は不要です。確定申告に代わって年末調整により手続きを行います。
一方、副業などを行っていて一定以上の所得があるなど、定められた条件に該当する人は会社員でも確定申告を行うことが必要です。確定申告を行うべき会社員が確定申告をしていない場合には無申告の扱いになります。
ただし、一言で無申告といっても、申告しない理由は人によってさまざまです。無申告となるのは必ずしも悪意を持った意図的な理由があるわけではなく、申告の必要性や重要性を理解していない場合や、申告していなくても問題になったことはないという知人からの話を真に受けてしまっているケースなどもあります。
しかし、無申告はどのような理由であってもルール違反であり、本人に悪意があるか否かは関係なく、申告していない時点でペナルティの対象となるため気を付けましょう。
無申告の状態を放置しているとどうなるのか
無申告を過去に数年続けていたとしても今年からきちんと申告すれば特に問題にはならないのではと考える人もいることでしょう。
しかし、税務調査の対象となるのはその年の分だけではありません。通常であれば過去3年分、無申告の調査の場合には5年前までさかのぼって調査が行われます。
さらに、5年分の調査で不正が見つかったり悪意があると認められたりした場合には7年前まで調査が行われるため十分に注意しなければなりません。調査により無申告が発覚した場合、過去のものでもすべてがあらためて課税対象となるうえ、ペナルティも科せられます。
7年もの間、無申告を行っていたことが発覚すると重加算税が加算され、その場合の納税額の負担は5年間の場合と比較しても、罰金を含めて1.5~2倍ほどです。
また、税務調査が来る前に自主申告をした場合でも5%、税務調査が入った後だと15%もの無申告加算税を通常の税額とは別に負担することが求められます。加えて、無申告の状態を長く続けているほど負担が大きくなる延滞税にも注意が必要です。延滞税の納税額は納付期限からの経過年数に応じて決められます。
そのほか、保育園や幼稚園などを利用する家庭は無申告だと保育料などの無償化の対象外となるため、制度の利用を考えているなら無申告をしっかり解消しておかなければなりません。保育料などの無償化を受ける申請には確定申告書の控えが必要となるからです。無申告だと確定申告の控えがないため、必要書類がそろわず申請の手続きを進められなくなります。
このようなことからも確定申告は無申告の状態を長く放置せず、少しでも早めに申告することが大切です。
長年に亘って無申告のため領収書などが残っていない場合の対処法
無申告の解消に向けて過去の分の申告書を作成しようと思っても、無申告の状態が長く続いていると、領収書などがすべて手元に残っていない場合もあるでしょう。領収書がない場合には、領収書に代わって経費の内容を証明できる証憑などを用意する方法もあります。
たとえば、クレジットカードの明細や銀行口座の入出金記録です。さらに、契約書や取引先からの請求書・領収書なども経費の証明として認められる場合もあるため、可能であれば取引先などに頼んで再発行してもらうとよいでしょう。
無申告の状態で税務署から税務調査が来た場合の対処法
税務調査の申し出が税務署からあった場合には素直に受けましょう。事前に納税者の承諾を必要とする任意調査であっても納税者には受忍義務があるため正当な理由もなく調査を断ることはできません。
また、税務調査の対象となるのは必ずしも不正の疑いがある企業や人とは限りませんが、来た場合には徹底した調査が行われます。調査に入る段階で税務署側ではそれなりの資料をそろえていることが一般的です。
特に無申告の場合、調査を受ける側に後ろ暗い点があるため、税務調査は大きなプレッシャーとなることでしょう。そのような精神的な負担を考えても、最終的な税負担を鑑みても、税務調査の際には、税務調査の経験豊富な税理士に対応を依頼した方が安心です。
税務調査は突然来ることはなく、まずハガキや電話などで催促が入ります。そのため、事前にしっかり対策を取っておくためにも、税務署から連絡が来た時点で税理士に相談しておくことが大事です。安い料金で依頼を受けてくれる税理士もいるため、依頼先を上手に選ぶとよいでしょう。
副業をしていることを会社に知られたくない場合の対処法
さまざまな事情から会社には副業をしていることを内緒にしておきたい場合もあることでしょう。副業を会社に知られたくない場合には、確定申告書の書き方に注意が必要です。住民税に関する記載箇所にある住民税の徴収方法を「給与天引き」ではなく「自分で納付」の項目に〇を付けておかなければなりません。
また、税務調査が来た際には、会社に副業をしていることを知られなくない旨を調査員にはっきり伝えておくとよいでしょう。税務調査の目的は、会社に隠れて副業をしているかを調べて報告することではなく、納税の不正を調べ納税者に正しく不足額を納めてもらうことにあるので、正直に話しても問題にはなりません。
無申告への対応を安い料金で行う税理士の探し方
無申告の対応は通常の確定申告の手続きと比べて労力がかかるため依頼を嫌がる税理士もいます。しかし、その一方で比較的安価な料金で快く依頼を引き受けてくれる税理士もいるため上手に探すとよいでしょう。
ただし、依頼先選びでは料金の安さだけではなく経験の豊富さや申告後のフォロー体制などのチェックも重要です。無申告に専門的に対応している税理士を上手に探したいなら、税理士紹介会社を利用するとよいでしょう。